「お金のことって、何歳くらいから教えればいいんだろう?」
「まだ幼稚園児だし、お金の話は早い?」
「せっかくなら、算数の勉強にもつながるように教えたい」
子どもが「これ買って!」と言うことが増えてくると、こんなことを考えるようになりますよね。
わが家でも、子どもと買い物をしていると、
「これ100円?」
「こっちのほうが高い?」
「お金ってなくなっちゃうの?」
と聞かれることがあります。
そんなとき、私は「これも立派な知育だな」と感じます。
私は仕事で幼児向けを含む教材の編集に携わっていますが、幼児期の算数で大切にしたいのは、計算をどんどん先取りすることよりも、数を実際の生活と結びつける経験です。
その点、お金はとても身近な教材。
「100円だから買える・買えない」
「2つ欲しいけれど、今日は1つにする」
「今は買わずに、次のお楽しみにする」
こうした日常のやりとりには、数だけでなく、選ぶ・比べる・待つ・考えるという学びがぎゅっと詰まっています。
では、お金についての教育は何歳から始めればいいのでしょうか。
この記事では、幼児期のお金教育について、
- 何歳から始めればいい?
- 3〜6歳では何を教える?
- 算数や知育とどう結びつく?
- お小遣いは必要?
- キャッシュレス時代はどう教える?
といった疑問を、できるだけわかりやすくまとめます。
contents
お金についての教育は何歳から?「○歳から」という決まりはない

最初に結論からいうと、
「お金の教育は○歳から始めるべき」という決まった年齢はありません。
子どもの発達や興味に合わせて、少しずつ始めれば大丈夫です。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公開している体系的な子ども向け教材は、小学生向けから用意されています。低学年向けでは、お金の種類やおこづかいの使い方、貯め方などを学ぶ内容になっています。
では、幼稚園児にはまだ早いのかというと、そうとも限りません。
文部科学省が示す幼児教育では、幼児が遊びや生活の中で数量などに親しみ、必要に応じて使う経験を重ねることが大切にされています。
つまり幼児期は、
「金融について勉強する」
というより、
買い物や遊びの中で、お金や数字に興味を持つ
くらいから始めるのがちょうどいいのです。
子どもがスーパーで値札を見て、
「これ、数字が書いてある!」
と興味を示したら、それも十分スタート地点。
3歳でも興味を持つ子はいますし、5歳になってからでも遅くありません。
幼児に教えたいのは「投資」より、まずお金の基本
最近は「子どもの金融教育」という言葉をよく聞くようになりました。
すると、
「投資も早くから教えたほうがいい?」
「貯金の仕組みまで説明する?」
と考えるかもしれません。
でも、幼児期にそこまで難しい話をする必要はありません。
まず知ってほしいのは、ごくシンプルなことです。
たとえば、
「お店の物は、お金を払って買う」
「欲しい物を全部買えるわけではない」
「同じ100円でも、使えばなくなる」
「買う物を自分で選ぶことがある」
こうしたこと。
大人にとっては当たり前ですが、子どもにとっては新しい発見です。
J-FLECでも、子どもの成長に応じて親子でお金の使い方を話し合うことを、金融経済教育の機会として紹介しています。
「今日はお菓子を1つ選ぼう」
そんな一言からでも、お金の教育は始められます。
お金の教育が算数・知育と相性がいい理由

お金は、幼児にとって数字を「使う理由」がわかりやすいものです。
ここがお金遊びのいいところ。
たとえばワークに、
「3と2を合わせるといくつ?」
と書いてあっても、子どもによっては「なんで?」となります。
ところが、
「100円のお菓子を2個買ったらどうなるかな?」
となると、急に生活の中の話になります。
文部科学省の小学校算数でも、数量について学ぶだけでなく、数学的な見方・考え方を働かせ、日常生活や学習に生かしていくことが重視されています。
もちろん、
幼児期からお金遊びをすれば算数が得意になる
とまでは言えません。
でも、お金を使った遊びには、算数につながる経験がたくさんあります。
数を数える
「100円玉が1枚、2枚、3枚」
と数えるだけでも、物と数を対応させる練習になります。
幼児期は「10まで言える」「100まで言える」ということ以上に、
実際にある物の個数と数字が結びついていること
が大切です。
硬貨そのものにこだわらなくても、最初はおもちゃのお金で十分。
「3枚ください」
「もう1枚増えたね」
そんな遊びから始められます。
大きい・小さいを比べる
値札を見ると、自然に数字を比べる機会もできます。
「100円と200円、どっちが大きい?」
「こっちのほうが数字が大きいね」
まだお金そのものの価値がよくわかっていない年齢でも、「数字の大小」に目を向けるきっかけになります。
「足りる・足りない」を考える
少し数に慣れてきたら、
「100円持っているよ。80円のお菓子は買えそう?」
「300円あるけど、500円のおもちゃはどうかな?」
というやりとりもできます。
正解できなくても大丈夫。
「あれ?足りないかも」
と考える経験そのものが大事です。
同じ金額でも表し方が違うことに気づく
もう少し理解が進んだ子なら、
「50円が2枚で100円」
「100円が5枚で500円」
などを実物やおもちゃで作ってみるのも楽しいです。
ただし、ここは幼児全員に覚えさせる必要はありません。
興味を示したらやってみる、くらいで十分です。
3歳のお金教育|まずはお店屋さんごっこから
3歳頃なら、お金の計算はまだ必要ありません。
おすすめなのは、お店屋さんごっこ。
「いらっしゃいませー」
「りんごください」
「はい、どうぞ!」
これだけでも十分です。
最初はお金なしでもOK。
慣れてきたら紙で作ったコインを用意して、
「これを渡したら、りんごが買えたね」
と遊んでみます。
この年齢では「10円」「100円」の違いを正確に覚えることより、
お店では、品物を勝手に持って帰るのではなく、お金を払って買う
という仕組みに触れることが第一歩です。
4歳のお金教育|数字と値段を見つけてみる
4歳くらいになると、数字に興味を持つ子も増えてきます。
そんなときは、実際の買い物がとてもいい教材になります。
スーパーで、
「牛乳はいくらって書いてある?」
「198ってあるね」
と値札を一緒に見てみる。
ここで「198円を理解させなきゃ」と思わなくて大丈夫です。
「お店の商品には数字が書かれている」
ということに気づくだけでも、一歩前進です。
わが家でも、数字を勉強として見せるより、エレベーターの階数や時計、商品の値段など、生活の中で見つけたときのほうが食いつきがいいことがあります。
幼児の数字学習は、こういう「使う場面」とセットにすると入りやすいです。
5歳のお金教育|「どれを買う?」を考えてみる
5歳前後になると、子どもによっては簡単な足し算や数字の比較にも興味を持ち始めます。
そんな子には、
「今日は200円くらいまででお菓子を選んでみようか」
と、小さな予算を使った買い物体験もできます。
ただし、いきなり正確な合計金額を計算できなくても問題ありません。
最初は、
「100円のお菓子なら買えそう」
「300円のお菓子は今日はやめておこう」
くらいでOK。
ここで面白いのが、
「どっちにしよう?」
という場面です。
Aも欲しい。
Bも欲しい。
でも今日は1つ。
この経験には計算とは別の学びがあります。
限られた中から自分で選ぶことです。
お金の教育では、金額を覚えること以上に、この「選ぶ経験」を大切にしたいと思っています。
6歳頃のお金教育|実際の買い物にも挑戦
小学校入学前後になると、子どもの理解に合わせて、実際にお金を渡して買い物をしてみるのもいい経験になります。
たとえばコンビニやパン屋さんで、
「この100円玉を渡してみよう」
とお願いしてみる。
自分で商品を選んで、レジに持っていき、お金を払う。
大人からすると数分の出来事ですが、子どもにとっては、
「商品を選ぶ」
「値段を見る」
「お金を出す」
「商品を受け取る」
という一連の体験になります。
キャッシュレス決済が増えた今だからこそ、こうした経験は意識しないとなかなかできない家庭もあります。
キャッシュレス時代こそ「お金は見えなくても減る」を伝えたい
今はスーパーでもネットショッピングでも、カードやスマホで簡単に支払いができます。
子どもから見ると、
「スマホをピッとしたら物がもらえた」
ように見えることもあります。
旧・金融広報中央委員会の家庭向け資料でも、キャッシュレス化が進む中、現金を使う体験や親子でお金について学ぶことの重要性が紹介されていました。また、家庭での金融教育では、ネットショッピングやキャッシュレス決済でも実際にはお金を支払っていることを伝える考え方が示されています。
わが家でもキャッシュレスで払うときは、
「カードだからタダじゃないよ。あとでおうちのお金から払うんだよ」
くらいの簡単な言い方をしています。
幼児には、銀行口座やクレジットカードの仕組みを細かく説明しなくて大丈夫。
まずは、
ピッと払っても、お金を使っている
とわかれば十分です。
家庭で簡単にできる「お金×算数」知育遊び5つ

特別な教材を買わなくても、お金遊びはできます。
1.お店屋さんごっこ
家にあるおもちゃや空き箱に、
「10」
「50」
「100」
など簡単な値札を付けます。
数字にまだ慣れていない子なら、全部「100円」でもOK。
お客さんと店員さんを交代すると、会話遊びにもなります。
2.100円探しゲーム
スーパーや100円ショップなどで、
「100って書いてあるところ、見つけられる?」
と探してみます。
数字探しなら、お金の意味をまだ理解していない子でも楽しめます。
3.どっちが高い?ゲーム
「120円と180円、どっちの数字が大きい?」
と比べます。
最初は、
「100円と500円」
くらい差の大きい数字から始めるとわかりやすいです。
4.予算の中から選んでみる
数への理解が進んできたら、
「今日は300円まで」
と決めて、好きなおやつを選んでみるのも楽しいです。
計算が難しければ親が手伝います。
大切なのはテストのように正解させることではなく、
「どれにしようかな」
と考えること。
5.貯金箱に入れてみる
お年玉やもらったお金の一部を、貯金箱へ。
J-FLECも、お年玉のようなまとまったお金を受け取る機会を、親子でお金の管理や使い方を考えるきっかけとして紹介しています。
「何のために貯める?」
と親子で話してみるのもいいですね。
お小遣いは何歳から?幼児なら無理に始めなくてOK
お金教育というと、
「じゃあ、お小遣いを始めたほうがいい?」
と考えるかもしれません。
でも、お金教育とお小遣いは別ものです。
J-FLECでは低学年向けにおこづかいの使い方・貯め方を扱う教材がありますが、幼児に「○歳からお小遣いを始めるべき」という全国共通の基準があるわけではありません。
幼児期は無理に定額のお小遣いを始めなくても、
- 買い物に一緒に行く
- お店屋さんごっこをする
- 値札を見る
- 自分で1つ選ぶ
- お年玉の使い方を一緒に考える
だけでも、十分お金について学べます。
「自分のお金を持ちたい」
という気持ちが出てきたら、その家庭に合う方法を考えてみてもいいでしょう。
「お手伝い=お金」にする?わが家のルールで大丈夫

悩みやすいのが、お手伝いとお小遣いの関係です。
「お手伝いをしたら10円」
という家庭もあれば、
「家族の一員としてするお手伝いにはお金を払わない」
という家庭もあります。
ここに唯一の正解はありません。
個人的には、
いつもの片付けや食器運びなどは家族のお手伝い。
普段とは違う特別な仕事だけ報酬あり。
というように分ける方法もわかりやすいと思います。
大事なのは、その都度ルールが変わらないこと。
そしてお金を渡すかどうかに関係なく、
「助かったよ、ありがとう」をちゃんと伝えることです。
お金教育で避けたいこと
無理に計算問題にしない
せっかく買い物に来たのに、
「これはいくら?」
「じゃあ2個なら?」
「おつりはいくら?」
と毎回問題を出されたら、子どもも疲れてしまいます。
興味を持ったときだけで十分。
親子の会話の中に、ほんの少し数字を入れるくらいがちょうどいいです。
間違いをすぐ直しすぎない
「100円と50円で120円!」
と言ったとしても、
「違うでしょ!」
とすぐ訂正するより、
「じゃあ並べて数えてみようか」
くらいのほうが、考える余地があります。
幼児期は正答率より「数字って面白い」と思えることを優先したいところです。
家計の不安を子どもに背負わせない
「うちにはお金がないんだから!」
と必要以上に不安を与える必要もありません。
買わないときは、
「今日は買わないよ」
「今日はお菓子を買う日だから、おもちゃはまた今度」
「お誕生日に考えようか」
と、家庭のルールとして伝えるほうがわかりやすいことがあります。
節約を教えることと、お金への不安を背負わせることは別です。
教材編集者として思う「幼児期のお金教育」で一番大切なこと
幼児期のお金教育というと、少し難しそうに聞こえます。
でも実際には、
スーパーに行く。
値段を見る。
好きなお菓子を1つ選ぶ。
レジでお金を払う。
これだけでもいいんです。
幼児教育では、生活や遊びの中で数量に親しむ経験そのものが大切にされています。
私は教材編集の仕事をしていても、家庭では何でも「教材」にしすぎないようにしたいと思っています。
スーパーに行くたびに計算問題を出す必要はありません。
でも、
「こっちは100円だって」
「500円って大きい数字だね」
「今日はどっちにする?」
そんな何気ない会話なら、無理なく続けられます。
そして、お金は算数だけの教材ではありません。
「どちらにする?」
「今買う?」
「今度にする?」
と考えることで、自分で選択する経験にもなります。
この部分こそ、幼児期のお金教育で大切にしたいところです。
よくある質問
お金についての教育は3歳では早い?
早いとは限りません。
ただし、3歳から硬貨の種類や計算を覚えさせる必要はありません。
買い物を見たり、お店屋さんごっこをしたり、「お金を払って物を買う」という経験に触れるだけで十分です。
4歳なら100円や500円を理解できたほうがいい?
できなくても心配ありません。
発達や興味にはかなり個人差があります。
まずは硬貨を見たり、値札の数字を探したりするところから始めてみましょう。
お金遊びをすると算数が得意になる?
「お金遊びをすれば算数が得意になる」とまでは言えません。
ただ、お金を使った遊びには、数える・比べる・合わせる・分ける・足りるか考えるなど、算数につながる活動が多く含まれています。
幼児期の「数量に親しむ経験」の一つとして取り入れるのがおすすめです。
キャッシュレス家庭でも現金を教えたほうがいい?
現金しか使わせてはいけない、ということではありません。
ただ、キャッシュレスは幼児にとって「お金が減る様子」が見えにくいので、
「スマホで払ったけれど、お金は使っているよ」
と説明しておくとわかりやすいでしょう。
ときどき現金で買い物をする経験をつくるのも一つの方法です。
まとめ|お金の教育は「何歳から?」より、興味を持ったときが始めどき
お金についての教育に、「必ず○歳から始めなければいけない」という決まりはありません。
幼児期なら、まずは難しい金融教育をする必要もありません。
お金を払って物を買う。
値段には数字が書いてある。
欲しい物を全部買うことはできない。
いくつかの中から自分で選ぶ。
そんな身近なことからで十分です。
そして、「算数のため」と構えすぎなくても大丈夫。
数字をワークの中だけで覚えるのではなく、
「100円ってここにもある」
「2個買ったら増えた」
「これじゃ足りないね」
と生活の中で使うこと自体が、幼児期には大切な経験になります。
お金の話というと少し構えてしまいますが、最初の一歩は意外と簡単です。
次に子どもとスーパーへ行ったら、
「今日はどれにする?」
と一緒に値札を見てみる。
まずはそこから、親子のお金教育を始めてみてはいかがでしょうか。
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