小さい「っ」の教え方は、まず言葉を声に出して、音がつまる感覚を伝えることから始めるのがおすすめです。
「きて」と「きって」を聞き比べたり、「ら・っ・ぱ」のリズムに合わせて手を動かしたりすると、文字だけではわかりにくい小さい「っ」の役割を感じやすくなります。
ただし、子どもによってつまずく場所は違います。
| 子どもの様子 | まず試したい方法 |
|---|---|
| 「っ」を抜かして読む | 音の聞き比べ |
| 「きつて」と読む | 大きい「つ」と小さい「っ」の比較 |
| つまる場所がわからない | 手拍子・グーの動き |
| 読めるけれど書けない | 文字カード・穴埋め |
わが家の娘も、小さい「っ」が読めなかったことがあります。家庭では言葉を実際に声に出して教えていました。現在は、読むことも書くこともできています。
この記事では、幼児向けを含む教材の編集に携わる立場から、小さい「っ」の仕組み、つまずき方の見分け方、家庭でできる練習方法を紹介します。
小さい「っ」はどう教える?まずは「きて」と「きって」を比べよう
最初に試しやすいのは、小さい「っ」がある言葉とない言葉を聞き比べる方法です。
例えば、次の2つを声に出してみましょう。
- きて(来て)
- きって(切手)
「きて」は「き・て」の2拍、「きって」は「き・っ・て」の3拍です。
「きって」では、「て」の前につまる部分が1拍分入ります。
最初は文字を見せず、大人が自然な速さで「きて」「きって」と発音しても構いません。
「どこが違うかな?」
「『きって』は、途中でちょっとつまるね」
と、音の違いに気づけるように声をかけてみます。
まだ違いがわからないときは、無理に答えさせず、大人の発音を聞くところから始めてみましょう。
小さい「っ」は1拍分の「つまる音」
小さい「っ」は、正式には促音(そくおん)と呼ばれます。
文部科学省の小学校学習指導要領解説でも、「らっぱ」のようなつまる音として説明されています。
例えば「らっぱ」は、「ら・っ・ぱ」の3拍で数えます。
小さい「っ」は普通の「つ」のように発音するのではなく、次の音につながる部分を1拍分使って表します。
幼児に説明するときは、「促音」という用語を覚えてもらう必要はありません。
まずは「音がつまるところがあるんだね」と、一緒に気づくことから始めるとよいでしょう。
小さい「っ」が読めないときの教え方|4つの練習方法
小さい「っ」の練習は、聞く・動く・文字を見る・書くという順番で考えると、取り組み方を選びやすくなります。
ただし、すべての子どもに同じ順番が必要なわけではありません。今できていることに合わせて、必要な練習だけを試してみましょう。
① 音を聞き比べる|「ねこ」と「ねっこ」
音の違いに気づきにくいときは、小さい「っ」の有無でリズムが変わる言葉を使います。
- ねこ・ねっこ
- きて・きって
- さか・さっか
「ねこ」と「ねっこ」は意味の違いも説明しやすい組み合わせです。「ねっこ」は植物の根っこのことだと、絵や身近な植物の根などで確認できます。
例えば、次のような声かけができます。
「ねこ、ねっこ。どっちが少し長く聞こえる?」
「ねっこは、途中で音がつまるね」
正解できるかどうかより、違うリズムの言葉があることに気づくのが目的です。
なお、聞き比べる言葉は、子どもが意味を知っているものを選ぶと取り組みやすくなります。
② 手拍子とグーで「っ」の1拍を感じる
言葉のリズムがつかみにくいときは、手の動きを使う方法もあります。
例えば「らっぱ」なら、次のように動いてみましょう。
- 「ら」で手をたたく
- 「っ」で手をグーにして、1拍分待つ
- 「ぱ」でもう一度手をたたく
小さい「っ」の部分は音がはっきり聞こえなくても、リズムの上では1拍分あります。
この練習では、手をグーにすることで「音は出さないけれど、1拍分の場所がある」と視覚的に表します。
東京外国語大学の発音解説や東京都教育委員会の日本語指導資料にも、促音を手の動きなどで表す指導例があります。
ただし、これは練習方法の一例です。拍ごとに手をたたく方法もあり、必ずグーにしなければいけないわけではありません。
手の動きに気を取られて混乱する場合は、声に出して聞き比べる練習へ戻ってみましょう。

③ 文字カードで「っ」の場所を見つける
音の違いが少しわかってきたら、次は文字と結びつけていきます。
用意するのは、紙に「き」「っ」「て」と書いた3枚のカードだけです。
カードを「き・っ・て」の順番に並べ、「きって」と声に出しながら1枚ずつ指さします。
「小さい『っ』はどこにあるかな?」
と聞いてみましょう。
難しければ、大人が「ここだよ」と見せれば十分です。
慣れてきたら「っ」を抜いた「きて」も並べて、文字が1つ違うと読み方や意味が変わることを確認します。
教材編集の視点から考えると、この練習で確認したいのは「っ」の形を覚えたかだけではありません。
音がつまる場所と、小さい「っ」を書く場所が結びついているかを見ることが大切です。
④ 読めるようになったら、小さい「っ」を書き足す
小さい「っ」を読めるようになった子には、書く練習も取り入れてみましょう。
ただし、最初から「きって」を何も見ずに書かせる必要はありません。
例えば、紙に次のように書きます。
き □ て
声に出して「きって」と読んでから、□の部分に小さい「っ」を入れてみましょう。
まだ書くのが難しければ、手書きの「っ」カードを置くだけでも構いません。
「場所がわかる」「見本を見て書ける」「何も見ずに書ける」は、それぞれ違う段階です。
今どこまでできるかを見ながら、無理のない課題を選びましょう。
小さい「っ」を間違えるときは?つまずき方別の対処法
同じ「小さい『っ』が苦手」でも、どのように間違えるかによって確認したいことは違います。
| よくある間違い | 確認したいこと | 次の練習 |
|---|---|---|
| 「きって」を「きて」と読む | つまる部分に気づいているか | 音の聞き比べ |
| 「きって」を「きつて」と読む | 大きい「つ」と区別できるか | 文字の大きさと音を比較 |
| 読めるのに「きて」と書く | 「っ」を入れる場所がわかるか | カード・穴埋め |
| 言葉が変わると読めない | 新しい言葉でもリズムをつかめるか | 短い言葉で練習 |
この表は、家庭で練習を選ぶための目安です。間違い方だけで原因を断定できるわけではありません。
「きつて」と読むなら、大きい「つ」と小さい「っ」を比べる
大きい「つ」と小さい「っ」を同じように読んでいる場合は、文字の大きさと読み方を一緒に確認しましょう。
例えば、「つみき」の「つ」と「きって」の「っ」を見せます。
「こっちは『つ』と読むけれど、小さい『っ』は音がつまるところだね」
と説明し、実際に「きって」と読んでみます。
文字の形だけを何度も見せるのではなく、音と一緒に確認するのがポイントです。
読めるけれど書けないなら、書く量を減らす
読むことができているのに書くと「っ」が抜ける場合は、言葉全体を書く前に、小さい「っ」の場所を選ぶ練習をしてみます。
例えば「き・て」の間に「っ」カードを置いたり、空欄に書き足したりする方法です。
書くこと自体に負担がある子には、カードを置く練習から始めてもよいでしょう。
「まだ書けないから、何度も書き直す」という方法だけに頼らないことが大切です。
小さい「っ」の練習に使いやすい言葉一覧
小さい「っ」を練習するときは、まず子どもが意味を知っている、短い言葉から選ぶと取り組みやすくなります。
| 練習の目的 | 言葉の例 |
|---|---|
| つまる音に親しむ | きって・きっぷ・らっぱ・かっぱ |
| 違う言葉でも読んでみる | ざっし・しっぽ・まっくら |
| ほかの読み方も含めて挑戦 | がっこう・なっとう・サッカー・ロケット |
これは厳密な難易度順ではなく、練習する言葉を選ぶための例です。
例えば「がっこう」には、小さい「っ」のほかに長く伸ばす音も含まれます。
小さい「っ」だけを練習したい段階では、「きって」「きっぷ」など、ほかの読み方が複雑ではない言葉を選ぶほうがよいでしょう。
また、子どもが言葉の意味を知らない場合は、先に意味を説明したり、絵や実物を見せたりしても構いません。
わが家では、言葉を声に出して小さい「っ」を教えました
娘も以前、小さい「っ」を読めなかったことがあります。
家庭では、言葉を実際に声に出しながら教えていました。
現在は、小さい「っ」を読むことも書くこともできています。
ただし、これはわが家の経験です。声に出して教えたことだけが習得の理由だったと断定することはできません。
教材編集の仕事でも、子どもがどこでつまずいているのかに合わせて、課題の出し方を変えることは重要だと考えています。
小さい「っ」の場合も、読めない子に書く課題ばかり出すのではなく、音を聞く練習から始めるなど、今の理解に合う方法を選ぶのがよいと思います。
小さい「っ」の練習にワークやプリントは必要?
小さい「っ」を覚えるために、必ず市販ワークを買う必要はありません。
音の聞き比べや手拍子は、特別な教材がなくてもできます。
紙と鉛筆があれば、文字カードや穴埋め問題も簡単に作れます。
一方、すでに文字を書くことが好きな子や、いろいろな言葉で練習したい子には、プリントを使う方法もあります。
教材を選ぶなら「今できること」に合わせよう
教材を選ぶときは、対象年齢だけでなく、どんな課題が載っているかを確認しましょう。
- まだ読めない:絵を見て言葉を選ぶ、声に出して読む課題
- 読めるけれど書けない:小さい「っ」を選ぶ・書き足す課題
- 読み書きできる:短い言葉や文の中で使う課題
特に書くことが苦手な子には、最初から何語も書かせるより、選択式や穴埋め式のほうが取り組みやすい場合があります。
反対に、すでに「っ」を正しく書ける子が、同じ穴埋め問題ばかり繰り返す必要はありません。
教材は量を増やすためではなく、今必要な練習を選ぶために使いたいですね。
ひらがな全般について「読めるのに書けない」「文字を書くこと自体を嫌がる」といった悩みがある場合は、次の記事で練習の進め方を詳しく紹介しています。
4歳でひらがなが書けないのは大丈夫?読めるけど書けない理由と練習法
小さい「っ」は何歳から教える?4歳・5歳で読めなくても大丈夫?
小さい「っ」は、4歳・5歳までに必ず読めるようにしなければならないものではありません。
文部科学省の小学校学習指導要領解説では、促音などの表記を小学校第1・2学年の国語で扱う学習内容として示しています。
幼児期に小さい「っ」を完全に習得していないという理由だけで、発達が遅れていると判断することはできません。
ひらがなに興味を持ち始めたときや、絵本で小さい「っ」が出てきたときに、無理のない範囲で紹介してみましょう。
ただし、小さい「っ」に限らず、日常会話で言葉の聞き取りや発音が難しい、読み書き全般で強く困っている、園や学校でも心配があるといった場合は、担任や自治体の相談窓口、言語聴覚士などに相談する方法があります。
年中・年長のひらがな学習全体について知りたい場合は、年齢別の記事も参考にしてください。
小さい「っ」の教え方でよくある質問
何度教えても小さい「っ」が読めないときは?
同じ説明を繰り返すよりも、練習方法を変えてみましょう。
文字を見て読むのが難しければ、いったん文字から離れて、言葉を聞き比べるところに戻っても構いません。
聞き比べてもわかりにくい場合は、手拍子や文字カードなどを使ってみます。
子どもが嫌がるときは練習を中断し、絵本や日常会話の中で音に親しむ機会をつくるだけでもよいでしょう。
小さい「ゃ・ゅ・ょ」も一緒に教えたほうがいい?
小さい「ゃ・ゅ・ょ」を使う「きゃ」「しゅ」「ちょ」などは、拗音(ようおん)と呼ばれます。
促音とは読み方の仕組みが異なるため、同時に覚えさせる必要はありません。
小さい「っ」の練習中は、まずつまる音に絞り、慣れてきてからほかの読み方に進んでもよいでしょう。
小学校入学前に小さい「っ」が書けないと困る?
入学前に小さい「っ」を書けることは、一律の必須条件ではありません。
小学校でも促音の表記は学習します。入学前は、子どもの興味に合わせて文字に親しむことを大切にしましょう。
ただし、読み書きへの不安が強い場合は、入学先の学校や園に相談し、今できていることや困っていることを共有しておくと安心です。
まとめ|小さい「っ」は、子どものつまずき方に合わせて教えよう
小さい「っ」は、言葉の中で1拍分のつまる音を表す文字です。
子どもが読めない・書けないときは、まずどこでつまずいているのかを確認してみましょう。
- 音の違いがわからない:「きて」と「きって」を聞き比べる
- つまる場所がわからない:手拍子やグーで1拍を感じる
- 文字と音が結びつかない:文字カードを並べる
- 読めるけれど書けない:小さい「っ」を書き足す練習をする
わが家の娘も以前は小さい「っ」が読めず、家庭では言葉を声に出して教えていました。現在は読み書きできています。
覚えるまでのペースは子どもによって異なります。
今日からすべての練習を始める必要はありません。まずは親子で「きて」と「きって」を声に出して、音の違いを楽しむところから始めてみてくださいね。