「4歳になったのに、ハサミがうまく使えない……」
「まっすぐは切れるけれど、丸になるとガタガタ」
「幼稚園のお友達は上手に工作しているみたい。うちの子は遅い?」
4歳・年中ごろになると、園でも工作をする機会が増え、ハサミを使う場面も多くなってきます。
そこで気になるのが、
「4歳ならハサミをどこまで使えればいいの?」
ということではないでしょうか。
幼児向けを含む教材の編集に携わっている私も、子どもの教材を見るときには、つい「何歳でどこまでできる?」が気になります。
でも、ハサミについて調べてみると、大切なのは「4歳なら丸が切れる」といった一つの基準で判断することではありません。
ハサミを使うには、
ハサミを開く・閉じる。
連続して切り進める。
線を見る。
切る方向を調整する。
反対の手で紙を支える。
必要に応じて紙の向きを変える。
など、いくつもの動きが必要です。
そのため、
「直線は切れるけれど丸は難しい」
ということも十分あり得ます。
この記事では、4歳のハサミはどこまでできればいいのかを中心に、3〜5歳ごろの上達の流れや、うまく切れないときの練習方法まで分かりやすく紹介します。
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contents
4歳はハサミをどこまで使えればいい?
まず結論から。
4歳ごろの一つの目安として考えられるのが、
「直線の線に沿って切る」
という段階です。
相模原市こどもリハビリテーション業務推進連絡会が作成した資料では、遠城寺式乳幼児分析的発達表を引用し、
「はさみの開閉ができる」……2歳ごろ
「一回切りができる」……3歳ごろ
「直線の線に沿って切ることができる」……4歳児ごろ
というおおよその獲得年齢を紹介しています。(相模原市公式サイト)
ただし、ここで注意したいのが、
「4歳になったら直線をきれいに切れなければいけない」という意味ではない
ということです。
同じ4歳でも、ハサミを使ってきた経験は違います。
工作が大好きで何度も使ってきた子と、最近初めてハサミを使い始めた子では、慣れ方が違って当然です。
文部科学省のハサミ指導資料でも、子どもそれぞれの経験や技能に応じて指導の手立てを考えることが示されています。(文部科学省)
そのため家庭では、
「4歳なのにできない」
と見るより、
「今はどの段階までできている?」
と考えるのがおすすめです。
3〜5歳のハサミはどう上達する?5つのステップ
ハサミは「使える・使えない」の2択ではありません。
教材編集者の視点で考えるなら、次のように動作を細かく分けると、子どもがどこで難しさを感じているのか分かりやすくなります。
STEP1|ハサミを開く・閉じる
まずはハサミそのものを操作します。
開いて、
「チョキン」
と閉じる。
大人にとっては簡単な動きですが、初めてハサミを使う子にとっては、これも立派な第一歩です。
相模原市の資料では、ハサミの開閉ができるおおよその獲得年齢として2歳ごろが紹介されています。開くことが難しい子に対しては、ばね付きハサミなど操作を補助する道具の例も示されています。(相模原市公式サイト)
STEP2|一回で「チョキン」と切る
次は細い紙を一度で切ります。
長い紙を端から端まで切る必要はありません。
細長く切った折り紙などを、
チョキン!
と切るだけ。
「自分で切れた!」を感じやすいステップです。
先ほどの資料でも、一回切りは3歳ごろのおおよその獲得年齢として紹介されています。(相模原市公式サイト)
STEP3|直線に沿って切る
一回切りが安定してきたら、
チョキ、チョキ、チョキ……
と連続して切っていきます。
最初は線なしでもOK。
慣れてきたら、太く短い直線を描いて、
「この道を進めるかな?」
と線に沿って切ってみます。
4歳ごろの一つの目安として考えやすいのが、この段階です。(相模原市公式サイト)
STEP4|ジグザグ・ゆるい曲線を切る
直線に慣れたら、少しずつ方向を変えます。
ジグザグや、ゆるいカーブなどです。
ここからは、
線を目で追う+ハサミを動かす+紙を動かす
という動作が組み合わさってきます。
STEP5|丸や簡単な形を切る
さらに慣れてきたら、
大きな四角
三角
丸
などの簡単な形へ。
実際に4歳向けとして販売されている学研の切り絵教材でも、ジグザグ・カーブ・円などを扱っています。(学研出版)
ただし、
「4歳向け教材に円がある=4歳なら円を切れて当然」
ではありません。
市販教材の対象年齢は、発達の必達基準ではないからです。
あくまで、ハサミに慣れてきた子が挑戦できる活動の一例として考えましょう。

4歳で丸が切れなくても大丈夫?
「直線なら切れる。でも丸が切れない」
という場合もあります。
ここはあまり焦らなくて大丈夫です。
なぜなら、直線と丸では必要になる操作が少し違うから。
つまり、丸を切るときには、
利き手でハサミを開閉する
+
反対の手で紙を持つ
+
線を見る
+
紙の方向を少しずつ変える
という複数の操作を組み合わせる必要があります。
子どもを見ていると、ついハサミを持っている手ばかりに目がいきます。
でも、曲線や丸では反対の手の動きも大切なんですね。
丸が難しそうなら、
直線
↓
ジグザグ
↓
ゆるいカーブ
↓
大きな丸
と、少しずつ進めてみましょう。

4歳でハサミがうまく使えない5つの理由
「何度やってもうまく切れない」
というときは、練習量を増やす前にどこが難しいのかを見てみます。
① ハサミの開閉が難しい
まず確認したいのが、
「開く→閉じる→開く」
という動き。
閉じることはできても、自分の指でハサミを再び開くのが難しいことがあります。
この場合は、まだ線を切る課題へ進まなくてもOK。
まずは一回切りを楽しみます。
② ハサミが手に合っていない
「この子はハサミが苦手なのかな?」
と思ったら、道具も確認してみてください。
子どもの手や利き手に合ったハサミを用意しましょう。
持ち手が大きすぎる。
指穴が合っていない。
開閉しにくい。
利き手に合っていない。
こうした理由で操作しにくくなっている可能性もあります。
③ 反対の手で紙を動かすのが難しい
直線は切れるのに曲線になると急に難しくなる場合は、ここを見てみます。
ハサミをぐるぐる動かしているなら、
「ハサミを回す」
ではなく、
「紙を少しずつ回す」
を一緒にやってみましょう。
④ 線を見ながら切るのが難しい
線が細い。
道が長い。
カーブが急。
形が小さい。
これだけでも難易度は上がります。
最初は、
太く・短く・シンプルに。
「線の真ん中を完璧に切る」ことを求めなくても大丈夫です。
⑤ 課題が難しすぎる
教材編集者として、家庭学習でも工作でも大切にしたいのがここです。
子どもができないと、
「もっと練習しよう」
と考えがちです。
でも、同じ難しい課題を何度も繰り返すより、
一つ前のステップへ戻るほうがよい場合があります。
たとえば、
丸が切れない
→ ゆるいカーブへ
カーブが難しい
→ ジグザグへ
ジグザグが難しい
→ 直線へ
直線が難しい
→ 一回切りへ。
「できない=練習不足」と決めつけず、課題を一段階やさしくする。
これは、文字や数字の家庭学習にも通じる考え方です。

ハサミが苦手な4歳におすすめの練習6ステップ
では、家庭で練習するとしたら、どんな順番がいいのでしょうか。
特別な教材を用意しなくても、折り紙やコピー用紙で十分です。
① 細い紙をチョキン
最初は一回で切れる細さにします。
切った紙を、
「ラーメンみたい!」
「雪を作ろう!」
と遊びに使っても楽しいですね。
② 太く短い直線
次は紙に太い線を一本。
いきなり細い線を正確に切らせず、
「この道を進んでみよう」
くらいでOKです。
③ 少し長い直線
短い線が切れるようになったら、少しずつ長くします。
ここで「開く→閉じる」を連続させる経験が増えます。
④ ジグザグ
次は方向転換です。
最初は角度をゆるくして、大きなジグザグから。
⑤ ゆるいカーブ
いきなり小さな丸には進まず、大きくゆるいカーブを切ります。
紙を持つ手も使ってみましょう。
⑥ 大きな形
最後に、
四角
三角
大きな丸
などへ。
細かいキャラクターや複雑な形は、その先で十分です。
4〜6歳向けの学研の工作教材でも、直線を切るところから始め、折る・貼るといった基礎的な紙工作へ進む構成が採用されています。(学研出版)

ハサミの前にできる手先遊びもおすすめ
「そもそもハサミを嫌がる」
という場合は、ハサミだけを練習しなくても大丈夫。
普段の遊びで手指を使う経験を増やしてみます。
たとえば、
紙をちぎる
シールをはがして貼る
粘土をつまむ
洗濯ばさみを開閉する
トングで物をつかむ
折り紙を折る
など。
ただし、
「洗濯ばさみをやれば必ずハサミが上達する」
という意味ではありません。
あくまで、手を使う遊びのバリエーションの一つとして楽しみましょう。
4歳のハサミはどう選ぶ?
幼児用のハサミを選ぶときは、
手の大きさに合っているか
利き手に合っているか
無理なく開閉できるか
子ども向けに安全性が考えられているか
を確認します。
特に左利きの場合は、左手用のハサミも選択肢になります。
文部科学省でも、児童の手と利き手に合ったハサミを用意すること、安全面では留め具の緩みや鋭利な刃先などを確認することが示されています。(文部科学省)
また、
「幼児だから、とにかく切れないハサミのほうが安全そう」
と思うかもしれません。
でも、切れにくすぎると紙をうまく切れず、必要以上に力を入れてしまうことも考えられます。
大切なのは、
「切れないから安全」ではなく、子どもが扱いやすい適切な道具を、大人が見守れる環境で使うこと
だと思います。
幼児に必ず教えたいハサミの安全ルール
ハサミは便利な道具ですが、刃物でもあります。
上手に切れるかどうかより先に、安全な使い方を伝えましょう。
家庭では、まず次のような約束を決めておくと分かりやすいです。
- 小さいうちは大人と一緒に使う
- ハサミを持ったまま歩かない・振り回さない
- 人に刃先を向けない
- 使わないときは刃を閉じて置く
- 切ってよいものだけを切る
- 人に渡すときは柄を相手に向ける
一度に全部覚えさせる必要はありません。
「今日はハサミを持って歩かない」
など、使うたびに繰り返し伝えていきましょう。

4歳がハサミを嫌がるときはどうする?
ハサミを出した瞬間、
「やりたくない!」
となる子もいます。
そんなときは、すぐに
「ハサミが嫌いなんだ」
と決めつけず、何を嫌がっているのかを少し観察してみます。
ハサミそのものが怖い。
うまく切れないのが嫌。
線からはみ出すのが嫌。
手が疲れる。
工作そのものに興味がない。
原因によって、対応は変わります。
たとえば丸を切る課題で嫌がっているなら、
丸を何度も練習するのではなく、
細い紙を一回だけ「チョキン」
まで戻してみる。
それで、
「切れた!」
となったら、その日はそこで終わってもいいと思います。
家庭での工作はテストではありません。
「またやりたい」と思える余白を残して終える
ことも大切です。
3歳・5歳と比べるとどう?年齢より「今どのステップか」を見よう
「3歳ならどこまで?」
「5歳なら丸までできる?」
と前後の年齢も気になりますよね。
参考になる資料では、
2歳ごろ:ハサミを開閉する
3歳ごろ:一回切り
4歳児ごろ:直線の線に沿って切る
というおおよその獲得年齢が示されています。(相模原市公式サイト)
一方で、そこから先の、
「4歳○か月ならカーブ」
「5歳なら丸」
まで細かく家庭で線引きする必要はありません。
市販教材を見ても、3歳向け・4歳向け双方でジグザグやカーブ、円などを扱う例があり、教材の対象年齢そのものを発達基準として使うことはできません。(学研出版)
だから家庭では、
開閉
↓
一回切り
↓
連続切り
↓
直線
↓
方向転換
↓
曲線
↓
簡単な形
という流れを見るくらいで十分です。
「4歳だからここまで」
ではなく、
「今ここだから、次はこれをやってみよう」
と考えます。
この見方なら、周りの子と比べる必要も少なくなります。
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4歳なのにハサミができない…心配なときは?
4歳で直線がうまく切れないからといって、
それだけで発達全体に問題があるとは判断できません。
ハサミを使ってきた経験や、使っている道具、課題の難しさなどによっても様子は変わります。
まずは、
開閉はできる?
一回切りは?
線なしなら切り進められる?
太い直線なら?
紙を持つことはできる?
と細かく分けて見てみましょう。
園に通っているなら、
「園ではハサミをどんなふうに使っていますか?」
と先生に聞いてみるのもおすすめです。
家では嫌がるけれど、園では工作を楽しんでいるかもしれません。
反対に、園でもハサミだけでなく手先を使う活動全般について気になる様子があるなら、先生と情報を共有しておくと安心です。
ハサミ一つの「できる・できない」だけで判断せず、普段の様子を知っている大人と一緒に見ていくのがよいでしょう。
まとめ|4歳のハサミは「どこまで?」より今できる一歩先へ
4歳のハサミについて調べていると、
「4歳ならどこまでできればいい?」
という答えが欲しくなります。
一つの参考として、発達資料では4歳児ごろに「直線の線に沿って切る」ことがおおよその獲得年齢として示されています。(相模原市公式サイト)
ただし、それは必達ラインではありません。
ハサミは、
開閉する
↓
一回切り
↓
連続して切る
↓
直線
↓
方向転換
↓
曲線
↓
簡単な形
と、少しずつ操作が複雑になっていきます。
だから、
「4歳なのに丸が切れない」
ではなく、
「直線が切れるようになったね」
「今日は紙を自分で回せたね」
「前より線の近くを切れたね」
と、今できていることを見る。
そして難しそうなら、
一つ前のステップへ戻る。
教材を作るときも、家庭学習をするときも、私はこの考え方を大切にしています。
4歳だから何かを完成させなければ、と焦る必要はありません。
安全に気をつけながら、
「切れた!」
「作れた!」
「もう一回やりたい!」
という経験を少しずつ増やしていきましょう。
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