「1歳になったけれど、まだあまり言葉を話さない」
「同じくらいの子は『ママ』『わんわん』と言っているけれど、うちは遅いのかな?」
1歳になると、歩く・食べるといった成長とともに、気になり始めるのが言葉の発達です。
ただ、1歳の言葉は「何語話せるか」だけでは見えてきません。
大人の言葉が少しずつわかる、名前を呼ぶと見る、指差しをする、パチパチやバイバイを真似する――こうしたやりとりも、言葉につながっていく大切なコミュニケーションです。
POINT
1歳の言葉の発達を見るときは、「話せる単語数」だけでなく、言葉の理解・指差し・模倣・大人とのやりとりも一緒に見ていきます。
この記事では、1歳〜1歳半ごろの言葉の発達の見方と、家庭でできる自然な関わり方を、教材編集者・2児の母の視点からまとめます。
1歳全体の成長について知りたい方は、1歳の子どもの成長と発達の目安もあわせて参考にしてください。
1歳の言葉はいつから出る?
1歳前後になると、少しずつ意味のある言葉が出始める子がいます。
ただし、言葉の出る時期には個人差があります。
国立障害者リハビリテーションセンターの資料では、子どものコミュニケーションは、まずバイバイや指差しなどのジェスチャーが育ち、それに続いて「ママ」「パパ」などの言葉が出始める流れとして説明されています。
そのため、「1歳になった=すぐ何語も話す」という見方ではなく、言葉になる前のやりとりも含めて発達を見ることが大切です。
教材編集者MEMO
「1歳」というひとくくりでも、1歳0か月と1歳11か月では約1年の差があります。同じ1歳児同士で単語数だけを比べると、必要以上に不安になりやすい時期です。
言葉が出る前にも育っていることがある
まだはっきりした言葉が出ていなくても、コミュニケーションの力は少しずつ育っています。
1歳ごろは、次のような様子も一緒に見てみましょう。
大人の言うことが少しずつわかる
「おいで」「ちょうだい」「ねんね」など、日常で何度も使う簡単な言葉に反応するようになることがあります。
子ども家庭庁の母子健康手帳情報でも、1歳6か月健診で確認する内容の例として「大人の言う簡単な言葉がわかるか」が挙げられています。
自分ではまだ言えなくても、「聞いてわかる言葉」が先に増えていることもあります。
指差しで伝えようとする
1歳を過ぎるころから、欲しいものや興味のあるものを指差して伝える姿が見られるようになります。
たとえば犬を見つけて指を差したときに、大人が「わんわんいたね」と言葉を添える。
このように、子どもが注目しているものと言葉をつなげるやりとりができます。
大人の動きを真似する
パチパチ、バイバイ、もしもしなど、大人の動作を真似する「模倣」もコミュニケーションのひとつです。
国立障害者リハビリテーションセンターでは、生後9か月ごろから模倣が見られ始めると説明しています。
言葉そのものがまだ少なくても、人の動きを見て真似したり、声を返したりするやりとりが増えていることがあります。
バイバイについては、わが家の1歳2か月の様子を1歳でバイバイできない・しないのは遅い?の記事で詳しくまとめています。
わが家の1歳2か月|言葉だけでなく「わかっていること」も増えている
現在、わが家の息子は1歳2か月です。
まだ言葉の数だけを数えて成長を見るというより、「こちらの言っていることが少しずつ伝わっているな」と感じる場面が増えてきました。
名前を呼ぶとこちらを見たり、簡単な言葉を理解しているような様子があったり、パチパチを真似したりします。
バイバイも最初からきれいにできたわけではなく、1歳2か月ごろから少しずつ「バイバイっぽい」動きが出てきました。
わが家の実体験
1歳は、昨日までできなかったことが少しずつ形になっていく時期だと感じます。言葉だけを切り取るのではなく、「呼ぶと見る」「真似する」「言ったことが伝わる」など、日常の小さな変化も見るようにしています。
上の子のときもそうでしたが、幼児期は「できる・できない」を1日単位で見るより、数週間〜数か月の変化で見るほうが成長を感じやすいです。
1歳の言葉を育てるために家庭でできること
「言葉を増やさなきゃ」と特別なトレーニングをする必要はありません。
1歳ごろは、日常生活そのものが言葉と出会う機会になります。
子どもが見ているものを言葉にする
子どもが犬を見ていたら「わんわんだね」、車を指したら「ブーブーきたね」のように、今見ているものへ短く言葉を添えます。
大人が一方的にたくさん説明するより、子どもの興味に合わせると、目の前のものと言葉を結びつけやすくなります。
身支度や食事もことばの時間にする
「くつ履こうね」「おてて洗おう」「いただきます」「お水飲もうね」など、生活の中では同じ言葉を自然に何度も使います。
1歳児にとっては、こうした繰り返しも言葉の意味を知る機会になります。
絵本は「最後まで読む」より一緒に楽しむ
絵本も1歳の言葉との出会いを増やしやすいものです。
ただ、1歳児が毎回最初から最後までじっと聞くとは限りません。
好きなページだけ見る、犬を指して「わんわん」と言う、ページを何度も戻る――それでも十分です。
POINT
「読ませる」より、「一緒に見る・指す・声を出す」を楽しむ。1歳の読み聞かせでは、親子のやりとりそのものを大切にしています。
「読もうとすると次々めくってしまう」「すぐに絵本を閉じてしまう」ときは、どう応じればよいか迷いますよね。具体的な声かけや、子どもの様子に合わせた読み方は、1歳が絵本をめくるだけのときの関わり方にまとめています。
歌・手遊び・まねっこ遊びを楽しむ
歌や手遊びは、言葉と動作を一緒に楽しめるのがよいところです。
わが家では、パチパチなど簡単な動きを真似する遊びもよくしています。
歌詞を正しく覚えさせることが目的ではなく、大人の声や動きに注目して、一緒にやりとりする時間として取り入れています。
子どもの声や仕草に大人が返す
子どもが「あ!」と声を出したり、何かを指差したりしたら、「あったね」「欲しかったんだね」と返してみます。
まだ言葉になっていなくても、「伝えたら相手が反応してくれた」という経験は、人とやりとりする楽しさにつながります。
「これは何?」と答えさせる練習はまだ急がなくていい
以前のこの記事では、「これは何かな?」と質問して答えさせる方法も紹介していました。
でも、1歳の言葉を育てる関わりとしては、答えを求めることより、大人が言葉を添えることを優先してよいと考えています。
たとえば子どもがりんごを指差したら、
- 「これ何?」とテストする
よりも、
- 「りんごだね」
- 「赤いね」
- 「おいしそうだね」
と、その子が見ているものに言葉を添えるほうが、1歳の時期には自然です。
教材編集者MEMO
「わかるかな?」と確認する問題と、「ことばにたくさん触れる」経験は別です。1歳では正解を言わせることより、身近なものと言葉を結びつける経験を増やしたいと考えています。
カードや知育玩具は必要?なくても大丈夫
言葉を増やすために、フラッシュカードや知育玩具を用意しなければいけないわけではありません。
まずは毎日の会話や絵本、遊びの中で十分に言葉へ触れられます。
そのうえで、子どもが写真や図鑑を見るのが好きなら、カードや音の出る図鑑を遊びの選択肢として取り入れるのはありです。
はじめてずかん1000は1歳から長く使った
わが家で特に長く使っているのが「タッチペンで音が聞ける!はじめてずかん1000」です。
上の子は1歳ごろから気に入っていて、写真を見たり、タッチペンで音を聞いたりしながら遊びました。
「これを使えば言葉が早くなる」と考えるものではありませんが、身近なものの名前に触れるきっかけは作りやすいと感じています。
気になる方は、現在の内容や価格を販売ページで確認してみてください。
ことばカードは「教える」より一緒に見る
くもんのことばカードも、わが家では紙がしっかりしていて絵が見やすく、使いやすいと感じました。
1歳なら、カードを高速で見せたり暗記させたりするより、子どもが興味を示したカードを一緒に見て「いぬだね」「りんごだね」と話すくらいでも十分です。
1歳で言葉が少ない・まだ出ないときはどう見る?
周りの子が話し始めると、「うちだけ遅いのでは」と気になることがあります。
ただ、1歳の言葉の発達には幅があります。
単語数だけでなく、
- 簡単な言葉を理解している様子がある
- 名前を呼ぶと反応する
- 大人と目が合う
- 指差しや仕草で何かを伝えようとする
- 大人の動作を真似する
といったコミュニケーション全体も一緒に見ていきます。
1歳6か月健診でも、発語だけでなく、言葉の理解・指差し・視線・社会性などを含めて子どもの発達を確認します。
「何語話せるか」だけで判断しない
検索すると、「1歳なら○語」「1歳半なら○語」といった数字が目に入ることがあります。
語彙数は発達を見る一つの材料ですが、数字だけでその子のコミュニケーションの発達すべてを判断することはできません。
特に1歳前半は、話すより先に「わかる言葉」が増えている場合もあります。
心配なときは相談してOK
言葉だけでなく、呼びかけへの反応や指差しなど複数のことが気になる場合、聞こえについて心配がある場合、できていたことをしなくなった場合などは、乳幼児健診や自治体の子育て相談、小児科などで相談できます。
「1歳半まで待たないと相談できない」ということはありません。
親が気になっていること自体も、相談してよい理由のひとつです。
1歳の言葉は「話す前のやりとり」も大切にしたい
1歳になると、「いつ話すかな」「何語話せるかな」と発語に目が向きやすくなります。
でも実際には、言葉が出る前から、
- 大人の言葉を聞く
- 目を見る
- 真似する
- 指差しや声で伝える
- 大人がそれに応える
というやりとりが少しずつ積み重なっています。
わが家でも、1歳2か月の今は「いくつ言えるか」だけではなく、名前を呼ぶと見る、簡単な言葉が伝わる、パチパチを真似するなど、日常のコミュニケーションの変化も見るようにしています。
子どもが興味をもったものを一緒に見て、短い言葉を添える。絵本や歌を一緒に楽しむ。
まずはそんな毎日のやりとりを、焦らず続けていきたいと思っています。
参考文献・確認先
- 国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター「乳幼児期」
- 国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター「健診での気づき」
- 子ども家庭庁 母子健康手帳情報支援サイト「乳幼児健診について」
- 子ども家庭庁「乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」